ハイレゾ音源は、一般的にCDよりも高いサンプリング周波数とビット深度で記録されています。

例えば、CDは44.1kHz・16bitですが、ハイレゾ音源には192kHz・24bitといった規格も存在します。理論上は、ハイレゾの方がより細かな情報を記録できるため、高音質であるとされています。

確かに、その考え方は間違っていないと思います。

しかし、ここでひとつ疑問があります。

果たして、実際に音楽として聴いたとき、その差はどれほど大きいのでしょうか。

CDの44.1kHz・16bitという規格は、人間の聴感を十分に考慮したうえで設計されたものです。長年にわたり音楽メディアの標準として使われ続けてきたことからも、その完成度の高さがうかがえます。

そのため、理論上はハイレゾの方が多くの情報を記録できたとしても、その情報が実際の音楽の中に存在しているとは限りません。

むしろ、録音やマスタリングの質の方が、音質に与える影響は大きいのではないかと思うのです。

優れた録音と丁寧なマスタリングによって作られたCDは、驚くほど豊かな音楽表現を聴かせてくれます。

一方で、どれほど高いスペックのフォーマットであっても、録音やマスタリングが十分でなければ、その性能を活かし切ることはできません。

そう考えると、ハイレゾとCDの違いは、単純な優劣ではなく、「どのような音源が収録されているか」という部分の方が重要なのかもしれません。

さらに言えば、私たちは耳だけで音楽を聴いているわけではありません。

「これはハイレゾ音源だ」と思って聴くのと、「これはCD音源だ」と思って聴くのとでは、受け取る印象が変わることもあります。

音楽には、スペックだけでは語れない部分があります。

結局のところ、音楽の感動を決めるのはサンプリング周波数やビット数だけではなく、その音源に込められた録音技術やマスタリング、そして何より、それを受け取る自分自身の心なのではないでしょうか。

ハイレゾは確かに高性能な器です。

しかし、音楽の美しさを決めるのは器の大きさだけではなく、その中にどのような音が入っているのか。

私は最近、そんなことを考えています。