最近、あらためて思うことがあります。

人は、頭で理解する前に、まず“感じて”いるのだということです。

風の温度。

空気の静けさ。

誰かの表情や声の柔らかさ。

そういうものは、細かく説明されなくても、自然と心に入ってくることがあります。

もちろん、何かを伝えるためには、丁寧に説明することも大切です。

言葉を整え、わかりやすく伝えることは、人と関わるうえで必要なことだと思います。

けれど一方で、「感じてもらうこと」が目的のものに関しては、あまり説明しすぎない方がいいこともあるように感じています。

なぜなら、人によって感じ方は違うからです。

同じ景色を見ても、同じ音を聞いても、心の動き方は人それぞれ違います。

だからこそ、あえて意味を固定しない。

あえて余白を残しておく。

すると、その余白の中で、人は自分自身の感覚を使い始めます。

「自分はどう感じたのか」

「なぜそう思ったのか」

その人だけの受け取り方が、そこに生まれていきます。

もし最初から意味を決めてしまえば、その感じ方は限定されてしまうかもしれません。

だから私は、感じてもらうものほど、少し抽象的であってもいいと思っています。

説明しすぎない。

意味を決めすぎない。

その余白の中で、人それぞれが自由に感じ取れること。

そこに、作品や表現の深みが生まれるのではないかと感じています。