長い間、自分の心の中に残る痕跡と向き合ってきました。
過去の出来事や感情、忘れたはずなのにふとした瞬間によみがえる記憶。それらが現れるたびに、私はそれを理解しようとし、解決しようとし、消化しようとしてきました。
けれど最近、少し考え方が変わってきました。
そもそも、簡単に処理できるものなら、とっくに処理できているのではないか。
簡単に消化できるものなら、とっくに消化できているのではないか。
それでもなお心の中に痕跡として残っているということは、それは最初から解決することが難しい性質のものだったのかもしれません。
だから私は最近、その痕跡を無理に消そうと思わなくなりました。
もちろん、自分の心を無視するわけではありません。向き合うことをやめるわけでもありません。
ただ、解決できないものを、さらに心に負荷をかけながら解決しようとすることに、少し違和感を覚えるようになったのです。
思い直しても、理解しようとしても、また現れる。
受け入れようとしても、また顔を出す。
そういうものは、もしかしたら「解決すべき問題」ではなく、「人生の中に残る痕跡」なのかもしれません。
傷跡のように。
木の年輪のように。
消えないから失敗なのではなく、残っていることそのものが自然なのかもしれません。
だから私は最近、痕跡は痕跡のままでいいと思っています。
無理に消さなくてもいい。
無理に答えを出さなくてもいい。
ただそこにあるものとして、一緒に生きていけばいい。
そんなふうに思えるようになってきました。