人は何かを選ぶとき、つい比較をしてしまいます。

こちらとあちらではどちらが優れているのだろう。

この中で一番良いものはどれだろう。

そう考えることは、決して悪いことではありません。むしろ、人間にとってはごく自然なことなのだと思います。

私たちは昔から、生き残るために比較し、判断し、より良い選択をしようとしてきました。その本能は今も私たちの中に息づいています。

だからこそ、多くの人は何か一つの正解を探そうとします。

しかし、私はある時から少し違う見方をするようになりました。

何か一つを選ぶということは、同時に他の可能性から離れることでもあります。

もちろん、選ぶこと自体は大切です。

けれども、一つを選んだからといって、他を否定する必要はありません。

例えば、コーヒーミルにもそれぞれの良さがあります。

あるメーカーにはそのメーカーの思想があり、別のメーカーにはまた違う思想があります。

そこには優劣というよりも、それぞれの考え方や価値観が反映されています。

だから私は、どちらが上か下かを決めることよりも、そのメーカーがどのような思いでその製品を作ったのか、その違いを知ることの方が面白いと感じるようになりました。

そして、その考え方はコーヒーだけに限りません。

音楽もそうですし、人との関わりもそうです。

これが正解で、あれは間違い。

これが一番で、あれは二番。

そうやって優劣を決める世界から少し距離を置くと、見える景色が変わってきます。

これにはこれの良さがある。

それにはそれの良さがある。

そう思えるようになると、選択そのものがもっと自由になります。

自分が納得したものを選べばいい。

そして、その選択が人生の終着点になるわけではありません。

一つを選び、一つを知り、また次のものに出会う。

人生が続く限り、新しい出会いも続いていきます。

だから私は、どれか一つに限定する必要はないと思っています。

今の自分が納得したものを大切にしながら、また別の良さにも触れていく。

そうやって少しずつ世界を広げていくことこそ、趣味の楽しさであり、人生の豊かさなのではないかと思うのです。