私がコーヒーの中でも特に好きな国は、エチオピアです。

もちろん、ジャスミンや白い花を思わせるような華やかな香りや、果実感あふれる味わいも大きな魅力です。

しかし、私がエチオピアに惹かれる理由は、それだけではありません。

エチオピアという国そのものが持つ、コーヒーの奥深さに魅力を感じています。

エチオピアはコーヒー発祥の地として知られています。

そして、この国には「エチオピア在来種」と呼ばれるコーヒーが存在しています。

実際には1000種類以上の遺伝的な多様性が存在すると言われており、それらをまとめてエチオピア在来種と呼んでいます。

私がエチオピアを面白いと感じるのは、ここからです。

エチオピア南部には、シダモ、ゲデオ、グジ、西グジといった産地があります。

さらにゲデオの中にはイルガチェフェやゲデブといった地区があり、その中にもチェルベサやコチャレなどの地域があります。

そして、その地域で育まれてきたエチオピア在来種の特徴も少しずつ異なるように感じます。

産地ごとの環境と、そこで受け継がれてきた在来種の個性が重なり合うことで、それぞれ異なる味わいが生まれていると思っています。

最初はその違いが分からないかもしれません。

しかし、何十杯、何百杯と飲み続けていくうちに、その微妙な違いが少しずつ見えてきます。

「こちらはより華やかだな」

「こちらは上品で繊細だな」

そんな違いを感じられるようになってきます。

私はそこにエチオピアコーヒーの面白さがあると思っています。

単にコーヒーを飲むだけではなく、その土地の環境や歴史、そして長い年月をかけて受け継がれてきたエチオピア在来種の個性を味わう。

それはまるで、同じ国の中にあるさまざまな風景を旅しているような感覚です。